スタートアップにおけるエバンジェリストという役割
この4月からトレンダーズ株式会社のインキュベーションラボ"BLT"Between Life n Techにてエバンジェリストとして仕事を始めました。
"エバンジェリスト”という響きだけで、「なんとなくすごそう!w」という印象を受けるものの、IT界隈におけるエバンジェリストの解釈は人それぞれ。今回は、私自身もその在り方を模索中ながらも、スタートアップにおける"エバンジェリスト”という新しい役割についてまとめてみました。
★これまでのエバンジェリスト“evangelist”とは?
もとは「(キリスト教の)伝道者」という意味です。日本に来たザビエルですね。何かを啓蒙する役割りともいえます。IT関連企業におけるエバンジェリストとは、複雑化するIT技術を分かりやすく「伝道」する役割とされています。わかりやすい例としては、マイクロソフトのエバンジェリストたちです。彼らは業界に影響力を持つITエンジニアを中心に商品・技術についてより深く理解してもらう啓蒙活動を行って、自社商品を世の中に広げています。
★スタートアップの"ネオ"エバンジェリストについて
上記のようなIT技術者寄りのエバンジェリストの他に、最近ではサービスを発展させるために、様々な関係者にサービスに対する共感を広め、サービス・プロダクトへのフィードバックをもらい、内部の開発者たちに改善案を提案するエバンジェリストも出現しています。今回はその対象者と、広め方のステップを図式化しました。
エバンジェリストは、サービスの開発期間中に7つの関係者に対して、サービスを愛してもらうべく普及活動を行います。7つの関係者とは、レビュワー(そのサービスに関連する知識が豊富であったり、経験・専門視点からフィードバックをくれる人。後々協力関係を築ける会社のCTOやCEOなどが望ましい)、メンバー(社内の協力者)、ペルソナユーザー(サービスのペルソナとなる人)、非ペルソナユーザー(サービスのペルソナではないが、異なった視点から発見がある可能性がある人)、パートナー(広告代理店など、そのサービスを発展するために力を貸してくれる人)、未来のクライアント(広告主など)、メディア(そのサービスを広めてくれる媒体をもつ人)である。
《共感の輪の広げ方》
①第一の輪「Evangelistへの共感」
先ずはサービスが良いものであれ、悪いものであれ、エバンジェリスト自身が7つの関係者に好かれていなければ、良い共感もフィードバックも産まない。先ずはエバンジェリスト自身を好きでいてくれる、信頼のある関係者1~2人に声をかける。
②第二の輪「Visionへの共感」
次にサービスのVisionに関して共感を得られるか確かめる。どんな問題を解決するために、どんなサービスをやるのか?(ソリューションプロブレムフィット)を共有し、サービスの方向性が誤っていないか確認をする。ゴールデンサークル※のスキームを利用して、自分でもきちんと整理をした上で相談にいくことが望ましいです。例えば、アプリにおけるゴールデンサークルを適用すると以下のようになります。
※ゴールデンサークルに関してわかりやすいTEDの動画は下記です。
www.ted.com
できるだけ開発初期に2ndフェーズを実施されることを推奨します。(共感されない場合、開発中のサービスの根本がひっくり返る場合があるので‥)
③第三の輪「Productへの共感」
いよいよサービスがローンチした後のアプローチです。ここでは7つの関係者に実際にサービスを利用してもらい、フィードバックをもらいます。その内容をエバンジェリストが改善案に変えて、内部に提案をします。(改善の内容は主にUI,UXなど)この時期に特に大切なのは、ペルソナユーザーの対象者たちに、本当にそのサービスを愛してもらい、広めてもらうことです。そうすることでバイラルが生まれ、ペルソナユーザーたちはサービスの「アンバサダー」に変化します。そして、サービスをグロースさせるべく、メディアの関係者にサービスを取り上げてもらうように交渉をします。第三の活動でのエバンジェリストの仕事は、まさに「グロースハッカー」としての側面を合わせ持つともいえます。AARRRモデルに添って、改善施策のPDCAを回す際に、既にあなたのサービスのファンである7つの関係者たちの協力が、サービスをグロースさせる強大な力となるはずです。
もし、エバンジェリストがここまで順調に共感の輪を広げ、そのサービスが本当に良いものであれば、プロダクトマーケットフィットを起こり、最後のスケールの輪にたどりつけるでしょう。
私自身もまだエバンジェリストとして道半ばですが、BLT初のプロジェクト「Anny」の普及に務めています。Annyはギフトを贈ることが形骸化されている現代に、"手軽にきちんと"ギフトを贈れるサポートをするサービスを続々と展開していく予定です。
もしかすると、エバンジェリスト活動の一環として、次はこの記事を読んで頂いた関係者の皆様にフィードバックをお願いすることになるかもしれません!その際はぜひ快くお引き受け頂ければ幸いです^^